白い曼珠沙華

2007年9月25日 18時10分 | カテゴリー: 活動報告

彼岸のころになると土手や農地や墓地の辺りで必ず咲く赤い曼珠沙華。DNAには何と書き込まれているのだろう。

練馬文化センター西側のいちょう並木緑地では、近所のボランティアの方がたが、思い思いの花を植えて水遣りや草取りなどして管理し、道行く人々の目を楽しませてくれている。今日、この緑地に赤い曼珠沙華の一群れと、そこからだいぶ離れたところに一本の白い曼珠沙華を見つけた。

私たちの塾では毎年、夏になると6年生といっしょに灰谷健次郎の『太陽の子(てだのふぁ)』を読んだ。

主人公の少女『ふうちゃん』が6年生であることや、登場人物の多くが沖縄出身で沖縄の抱える悲しみや苦しみをのりこえて逞しく生きていく姿から、『社会の中で生きること』を考えた。その物語は、沖縄戦のトラウマで『ふうちゃんのお父さん』が精神を病んでいくのだが、直前の親子団欒の楽しいピクニックが、赤い曼珠沙華の野原でくりひろげられ、そこで珍しい白い曼珠沙華を見つける暗示的なシーンから始まる。

今、区議会に「教科書から沖縄の集団自決に軍が関与した事実を削除しないよう文科省に意見書を出してください」という陳情が出ている。先ごろ辞任した安倍前首相の置き土産ともいうべき教育基本法改悪と軌を一にする美しい国づくり、不都合な真実隠しが沖縄の人々を二重、三重に苦しめている。

『太陽の子』の中で、あまりにも悲惨な沖縄の歴史を知るのを拒む『ふうちゃん』に、ふうちゃんの先生がどんなに辛く悲しいことでも本当のことを知ろうとするのが、今を生きる者の責任だと励ます場面がある。その言葉は、あの世に逝ってしまった灰谷さんから私たちへの渾身のメッセージと受けとめたい。